今回はインドを取り上げます。新NISAがスタートし、1か月が経過しました。メディアでは積立投資の対象となった投資信託のランキングが取り上げられています。みると、インドを対象とした投資信託が一部のネット証券で10位以内にランキングされています。そこでインドの経済規模や発展状況、株式市場の規模推移をみておきましょう。
インドの名目GDPと株式時価総額の推移を以下に示します。
図表1中国名目GDPと株式時価総額推移 (図表1およびこの後出てくる図表2とも名目GDPはIMF,株式時価総額は世銀から筆者集計により作成)
名目GDP(図表の青線)は大きく伸びていることがわかります。
1990年から10年単位で年平均成長率をみると名目GDPは
90~00年 3.5% 00~10年 12.5% 10~20年 6.29% となっています。
折れ線(青線)をみると19年から20年に下落(コロナの影響と思われます)、その後~22年にかけて上昇率が高まっているようです。このため、最近数年の伸びもあって注目を集めているのかもしれません。
次に株式時価総額は全体として名目GDPを若干下回る位置に上昇基調で推移、時に名目GDPを上回る位置に浮上しています。いずれにしろ全体として大きく上昇しています。
株式時価総額についてほぼ10年単位で同様に年平均成長率をみると、データがとれた2000年からですが
00~10年 21.61% 10~20年 6.90%
となっています。
インドの株式時価総額は2003年ころから急拡大しています。トレンドとしては右肩上がりですが、2008、2011年に大きく下落しています。
名目GDPと株式時価総額の関係
インドの場合、名目GDPと株式時価総額は、株式時価総額が名目GDPの下方の近い位置で両者が成長している形状となっています。両者の乖離の状況を下表に示します。
図表2 株式時価総額/名目GDP
単位:百万ドル |
1990 |
1995 |
2000 |
2005 |
2010 |
2015 |
2020 |
2021 |
2022 |
名目GDP |
3266億08百万ドル
|
3666億00百万ドル |
4766億10百万ドル |
8342億17百万ドル |
1兆7084億60百万ドル |
2兆1035億88百万ドル |
2兆6715億96百万ドル |
3兆1503億07百万ドル |
3兆3896億89百万ドル |
株式時価総額 |
― |
― |
2256億48百万ドル ― |
5159億72百万ドル |
1兆5966億25百万ドル |
1兆4850億88百万ドル |
2兆5524億63百万ドル |
3兆5480億18百万ドル |
3兆3873億66百万ドル |
株式時価総額/名目GDP |
― |
― |
0.47 |
0.62 |
0.93 |
0.71 |
0.96 |
1.13 |
0.99 |
インドの場合、ここ数年を除けば概ね「名目GDP>株式時価総額」という関係でその比率(株式時価総額/名目GDP)は2000年0.47でした。2000年段階では株式時価総額は名目GDPの47%程度という状況です。そこから2010年0.93、2015年0.71でしたが、2020年0.96とほぼ同程度となっています。2010年ころから株式時価総額は名目GDPに近い位置にシフト、大きな下落を伴いながらも2020年からは株式時価総額は名目GDPとが同程度で推移する状態となっているようです。
インドの一人当たりGDPは22年段階で世界ランク145位です。人口が多いので、国別では第5位ですが、一人当たりではまだ発展段階と考えられます。このため今後も名目GDPの成長が期待され、それにつれて株式時価総額の増大も期待されているようです。
さて次回はイギリス、その次にフランスを見る予定です。
その後、実際にインデックス投資としてベンチマークとなっているMSCI指数について検討します。
(小山 浩一)