7月13日更新
資産とリスク研究所 小山 浩一
今は2021年7月13日17時30分である。この時点でNHKの「特設サイト 新型コロナウイルス」のデータを見ると、新型コロナウイルスによる死亡者数は「7月13日16:30分現在、1万4962名」とある。同じ時点で厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症 オープンデータ」の死亡者を見ると、7月12日「14954」となっている。一日のずれはあるが、現時点で1万4900名超がこの感染症によって亡くなった方々の数として報告されている。
昨年初頭から新型コロナウイルス感染症が社会を覆い、いまだ解決していないので、この報告はやむを得ないとは思う。しかし釈然としない部分もある。新型コロナウイルスによって初めて死亡者がカウントされたのは2020年2月14日である。その日付で厚生労働省のオープンデータに「1」と記録されている。そこから2021年7月12日までの累計が1万4954名である。このまま年末までいくと、昨年分を含めて死亡者数を認識することになる。一方で2020年に比べて21年のほうが死亡者の数の増加は大きいとも思える。累計は「事実」ではあるが、現在の水準感を理解するにはむしろ不透明ではないか。
死亡者数を要因別に把握する時、我々は普通、1年間で考える。1年間という基準となる時間が決まっているので、どちらが多いとか、年齢帯によって気を付けるべき疾病の優先順位が違うとか検討できる。しかし、新型コロナウイルス感染症で我々が眼にする死亡者数は1年を超えた累計なので、少なくとも、他の疾病や災害とは比較できない。
そこで、年換算して新型コロナウイルス感染症による死亡者を推計してみる。2021年に入ってからの死亡者数は、「現時点の累計数―2020年12月31日時点の累計数」で計算できる。厚生労働省オープンデータで昨年12月31日時点の死亡者数は「3459」と記録されている。したがってこれを1万4954名から差し引いた「1万1495」が本年1月1日~7月12日までの死亡者数ということになる。日数で193日間である。これを365日換算すると「2万1739.25」となる。年間では「2万1740名」程度が新型コロナウイルス感染症による死亡者数の推計値ということになる(他にも推計の方法はある。例えば「6月までの実際死亡者数+6月単月の6か月分」で計算するなど)。
新型コロナウイルス感染症の状況はいまだ不安定で、死亡者の増加率が上昇することも考えられるが、ワクチンの普及で減少する可能性もある。したがって、他の疾病による死亡者数の想定に比べてこの感染症の年間死亡者数の想定は不安定ではある。しかし、2019年に年間37万6千人超が死亡しているガン(様々ながん死亡の合計)とは全く違うレベルではあることは確かなように思える。ちなみに胃がん4万2931名、大腸がん5万1421名である(がん死亡については国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」によった)。