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ヒト 皆 原始人

多くの人々が多くの知見を重ねて人間の歴史を紐解いてきました。

どうやら、「40数億年前に地球ができたらしく、そのあと40万年前ほどに、今の「ヒト」らしくなってきたらしい」と言われています。

 

タイトルは、「現代人=原始人(上図)」という意味です。

「そんなことは無い」と気色ばむ方も居るでしょう。

もちろん、今の時代に「原始人」が半裸で登場したら、それは「現代人」とは言えません。

でも、このタイトルで伝えたい事は、生物学の観点から現代人には、「原始時代 何万年の背景を今も持ち続けている部分がある。」ということです。

そこで思い浮かぶのは、「尾骶骨 = 尻尾の跡」とか、 「脇などの体毛が濃いところ」などの名残ですが、ここで話題にしたいのは、「外観」ではなく、「体内」のことです。

例えばホルモンについて 考えてみました。

血糖に関係するホルモンで思い浮かぶのは 「インシュリン」です。これは、血液中(以降、「血中」と略す)の糖分(グルコース)を細胞の中に送り込むのに必要なホルモンです

血中のグルコースは、人間が動く時に瞬時に消費されるエネルギー源です。これが、細胞の中から、必要な時に、すぐに血液中に放出されて、筋肉を動かせるようになっています。 つまり、筋肉を動かす時には細胞内のグルコースを血中に放出する必要があります。インシュリンとは、反対の方向で働くホルモンが必要です。

そのホルモンには、成長ホルモン、副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)、副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)、甲状腺ホルモン、グルカゴン、ソマトスタチンなど複数あります。

つまり、血中のグルコースを簡単に下げるのは、インシュリン一種類だけですが、血糖値を上げるのは複数あることがわかります。

これは、何を意味するのか??

原始時代を考えてください。

食物は、いつ口に入るかわかりません。でも、農耕でも狩猟でも、力が必要な作業は沢山あります。食物を得るために 今動かないといけない。たとえば、極端に言えば、漸く獲物(例:兎)を捕まえても、血中のグルコースを消費して低血糖になったら、さばいて調理することも難しくなります。

この長い原始時代の経験から 食物を口にしたときに上がる血中のグルコースを下げるホルモンは、滅多に必要にならないので、「取り敢えず一種類あればいい」となり、一方、瞬時に、思った通りに動けるエネルギーを供給するために血中のグルコースをあげるホルモンは、「フェールセーフを考えて、複数準備しておこう と ヒトの体に仕組まれた」と考えられます。

また、ご存じの通り、この血中グルコースには、現代病の糖尿病が付いて回ります。昔、「糖尿病」は、「贅沢病」といわれていました。

現代になって、毎日、自由な時間に、食べたいもの、好きなものを食べることができるようになり、それがあたりまえのようになったと思いますが、実は、「いかに贅沢な時間であるか」を示す、ホルモンの数の不思議なバランス といえます。

長い人類の歴史の中で、ごく最近の「現代人」の生活には、まだまだ、体が追い付かず、「現代人」の中に「原始人」が残っているのは、その歴史の長さを考えると、当然なのかもしれません。

「現代人」が「原始人」の生活に必要だったものを残していることを知ることは、ヒト(人間)をよりよく知るために重要なポイントではないかと考えて 極端ではありますが、「ヒト 皆 原始人」というタイトルにしました。

(中山由美子)