情報・コラム

保険リテラシーと保険募集規制、その先のリスクリテラシー

資産とリスク研究所  小山浩一

 消費者が自分の意に沿わない保険契約を締結したとして問題になることがある。高齢者の外貨建て保険契約などで問題視されたこともあるから、世の中的に「そうだろうな」という感じだろう。これ自体残念なことではある。このような問題を解決しようとしているのが保険募集規制といえる。

 保険募集規制は保険契約の締結に至るプロセスに着目し、消費者の保険契約締結の要因となる「意向」、およびその「意向の変化」を、事後検証可能な状態で記録する必要性を規定している。これによって消費者が自分の意向に沿わない保険契約を締結してしまうリスクを下げることができる。そのような方向性を維持するために保険代理店における使用人管理等についても規制の範囲としていると考えられる。

 保険募集規制についての参考書籍は

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ところで消費者の保険契約締結の要因となる「意向」はどこから生じるだろうか? おおもとをたどるとこれはリスク認知の問題にいたる。リスクの認知に問題があったとしても、意向に沿っていれば保険募集規制上は、問題になることはない。

保険募集規制はあくまで消費者の意向に沿わない保険契約の締結を抑止しようとするが、リスクの認知上のバイアス等で、消費者の「意向」自体に問題があったとしても問題視することはない。

ということでおおもとはリスクリテラシーの問題と思える。リスクへの向き合い方にバイアスがあって、あるリスクを必要以上に大きくとらえれば、その対処のための保険契約締結の「意向」は大きくなる可能性がある。